こんにちは
WordCamp Kansai 2014では、2日目にコントリビューターデイを企画しています。コントリビューターデイは、WordCamp San Francisco 2013やWordCamp Europe 2013など海外ではいくつか開催されていますが、日本では初!になります。実行委員の数名は海外のコントリビューターデイに参加されていますが、ほとんどの実行委員は体験したことがありません。そこで、実行委員および有志によるコントリビューターデイ体験を3月15日に行いました。
会場を提供していただいた株式会社ファーストサーバー様、ありがとうございました。
またこれに先立ち、WordCamp San Francisco 2013コントリビューターデイの和訳をしてくださったDJ-Kazさんありがとうございます。
会場には参加人数30名に加えて、Google Hangoutsから、Automattic社のNaoさん、WordPress日本語版作成チームのTaiさんにご参加頂きました。Naoさんからはコントリビューターデイについて、Taiさんからは日本語翻訳についてそれぞれ説明していただきました。
海外でのコントリビューターデイの状況について
Naoさんから
- 新しいオープンソース活動の協力者を奨励する(敷居を低くする)
- 普段会えない人同士のコミュニケーションを活発にする
という感じで実施されているよという事例紹介をしてくださいました。それぞれ、様々な人達に参加してもらえるように工夫しているようですね。
これまでWordCampで実施されたコントリビューターデイは、San Francisco, Europe, London, Norwayだそうです。100名弱のところや、200〜300名のところもあり、テーブルごとに集まって作業に没頭していたとか。
コントリビューターデイというと、高い技術を持った人たちの集団というイメージを持ちやすいかもしれませんが、WordPressに関して隣に詳しい人がいたら聞けるでしょのようなノリで、出来ることを教えたり、質問するなど(たとえばcoreへのパッチを送るやり方を教えることで、コントリビューターを増やすことも立派なコントリビュート)もやっているということ。
コントリビューターディを体験することで漠然とコントリビュートしたいけれども、それをやるための切っ掛けの場になるかもしれないと思いました。
またNaoさんからは、「日本で初めてのコントリビューターデイは、日本ならではの創意工夫があるかもしれず、楽しみにしている」というコメントを頂きました。これは気合を入れないといけませんね!
WordPressの日本語翻訳について
Taiさんからの説明していただきました。
で公開しており、ツールとしては翻訳プラットフォーム「GlotPress」を使っているとのこと。
ただコントリビューターデイで翻訳をやるなら、PoEditあたりがよかろうという話になりました。Google Translate Toolkit等を使ってやる方法もありますが、ダブルクォーテーションのエスケープがおかしくなる問題も現存しており、多様な層の参加が見込まれる中では難しいのではないかということでした。
実行委員および有志によるコントリビューターデイ体験
司会進行は、WP Total Hacksなどで著名なプラグイン作者であり実行委員でもある 宮内(@miyauchi)氏にお願いしました。まずは、、、コーヒーでしょう。大量に用意しましたが、結構なくなりましたね!
・・・さてグループ分けです。
- coreパッチグループ
- テーマ・プラグイン翻訳グループ
- テーマ・プラグインの開発グループ
- codex翻訳 グループ
- WordPress 3.9beta1テスターグループ
の5グループにわかれました。
談話し始める人、黙々と作業する人、質問する人、「わかんな〜い」と叫ぶ人などいろいろありました。始まる前は不安そうな表情を浮かべていた方々も終わってみれば皆満足そうな顔をしていました。さて実際はどうだったのでしょうか、それぞれのグループに参加した人たちからの声を拾ってみましょう。
参加者からの声
それぞれのグループからお一人ずつ体験した声を頂きましたので紹介します。
coreパッチグループ(瀬戸)
coreパッチをWordPress開発版へ組み込むためには、バージョン管理システム「Subversion(以下SVN)」を使う必要があります。
従ってcoreパッチグループは、開発したパッチを送る(SVNコミットすると呼ばれる)パッチファイルの作成の説明やcoreへの貢献できる内容についてグループリーダーの宮内さんに教えてもらいながら進めました。
そのため、このグループではSVNを扱えることが条件だったこともあり、さすがに全員PCに環境構築できていました。
そのため、Subversionができること前提で開発用リポジトリからファイルをチェックアウトするところから始めました。
さすが開発用であってGit、Grunt、PHPUnitと開発に必要なツールの設定ファイルまでコミットされています。実際にパッチの適用まではしませんでしたが、ファイルを変更しパッチファイルの生成までは行いました。
Bug Reportsの見方なども教わったのでこれをきっかけにcoreに貢献できればと思いました。
テーマ・プラグイン翻訳グループ(大野)
翻訳グループはPoeditの使い方をグループリーダーの深沢さんに教えてもらいながら、
各自で翻訳したいテーマやプラグインを翻訳しました。
エディター上ではなかなか感覚がわからなかったので、
ローカル環境に反映させながら、1つずつ進めていきました。
英語はあんまり得意じゃないので、わからない所は周りの方に質問してみたり。
時間内では完成させて作者に連絡をとるところまでいかなかったですが、
1人だとなかなか重い腰があがらないので、いいきっかけとなりました!
WordPress 3.9 beta1テスターグループ(鈴木)
Betaテスターグループでは既存WordPressを3.9 beta1へのアップデートするところから始まりました。PC内にインストールし動作できるように構築したWordPress(以下Local WordPress)内のプラグインテストをしてみようとなり、よく使われるプラグインのテストを行いました。
グループ内にLocal WordPressを構築していない方については、それぞれが普段利用しているレンタルサーバー等外部サーバーでのテストを行いましたが、Local WordPress及び外部サーバー上のWordPressどちらでも問題なくbetaテストが出来たと思います。
今まで使用してきたWordPress・プラグインの背景が見え、シェアが高いWordPressの楽しみ方を知りました。
Codexの翻訳(ナターシャ)
Codexの翻訳グループでは、まずCodex翻訳専用のアカウントをTaiさんに発行してもらい実作業に入りました。
Codexの英語原文をコピーしてくるにはWordPress.orgのアカウントが必要ですが、作業そのものは難しいものではありませんでした。
苦労したのは英語そのものよりWordPressやPHP特有の用語を日本語にどのように置き換えるのか、という部分でした。
WordPressやPHPに関しては多少の知識を要しますが、英語力はそれほど問われません。
そういったWordPressやPHPの用語説明についてグループ内で悩みを共有できたのは、心強かったです。
Codexは今後Handbookという新しいサイトに置き換わることが予定されていますので、ますます翻訳者が必要とされることと思います。
その時に力となるための予行練習のような、いい機会になりました。
テーマ・プラグイン開発グループ(木谷)
開発チームはみなさん個別に集中してました。話しかけても無視?!というわけではなくて、しっかり話し合いましたよ!それがサボっているように見えたのか、「サボってるぞ〜」という外野の冗談っぽい声も聞こえてきましたが、それもまた会話のネタになったりと、なかなか楽しめました。特に、MacOS 10.8から標準搭載されなくなったsvnコマンドのインストール方法を教えてたりとサポートに回る事も。このように、時には集中、時には分からないことの相談や談話をすることで、閃いたりあるいは心機一転できたかなと思います。どうしても開発って行き詰まると、抜け出せないことがありますから、こういった目的を同じくする人たちが集まって作業するのは斬新な体験であり楽しかったです。
さて私は、Contact Form 7プラグインに対してタグを追加する拡張プラグインの開発に着手しました。目標は公開でしたが、タグを追加して機能することを確認するところまでで終わりました。いずれ公開したいと思いますが、タグを追加するためにContact Form 7のソースコードを追って、その書式について理解できたのはよかったと思います。おそらくこのコントリビューターデイをやらなければ、これを理解する機会もなかったことだと思います。完成させることは理想ではありますが、それは最終目標であってその過程を持つ切っ掛けになるだけでも参加した良かったと思いました。
まとめ
実行委員といえど、コントリビューターデイはほとんどが初心者で不安そうな方々が多くいました。しかし終わってみれば皆、満足そうな顔をしていたことは前述したとおりです。このように実行委員によるコントリビューターデイ体験ですが、実行委員それぞれ何がしかの発見、体験、共有、理解ができたのではないかと思います。このことは参加者からの一言にもはっきりと出ていると思います。機会があれば開発、翻訳、サポート、テスター等を行った成果物については、別途まとめたいと思っています。ここで一言申し上げておきますが、成果物は完成形ではないものも多数あります。それでよいと思います。それが今後どのような形で膨らんでいくのか、楽しみでもありますし、きっと何らかの形で花を咲かせてくれることでしょう。
これが日本でのコントリビューターデイのあり方かというとまだまだ早熟ではあると思います。6月に開催されるWordCamp Kansai 2014でその種をまくことができればと思います。そのことが体験者とWordPressの双方にコントリビュートされるよう、実行委員一堂頑張っていきたいと思います!
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