このイベントのテーマビジュアルについてのお話、後編です(コンセプトの制作からティザーサイト完成までのことを書いた前編はこちらです)。
いよいよ現在のサイトを彩っているテーマビジュアルのお話です。
思いのほかボリュームいっぱいになってしましたが、どうぞお付き合いくださいませ。
キャンプファイヤーというモチーフはあるけれど…題材にハマる
ティザーサイトが公開された2月上旬から1ヶ月程度でウェブサイトや各種広報物に利用できるビジュアルが必要というスケジュールでした。
「夜明けから時が進み、祝祭を表わすキャンプファイヤーが姿を現す」というコンセプトは決まっていたのですが、しかしこれを絵にするのは大変でした。
私は鉛筆でいくつかスケッチを描いていたのですが(当時は「松明を持ってキャンプファイヤーを囲む人々」といったイメージが先に行っており、今のようなイメージとはまた違ったものでした)どうもハマるものが作れない。描いてはよい反応が得られずで苦しい時期でした。
気づけば制作期間も半ばを過ぎておりました。実行委員長や副実行委員長、そしてデザインチームの角田さん・中根さんと、オンライン・オフライン問わずで何度か会議を重ね、ようやくそこで
- 抽象的な関西の鳥瞰図
- 2府4県のランドマークが登場する
- 中心にキャンプファイヤーが燃え盛る
- 人でなく、鳥(伝書鳩)が灯をはこぶ
という現在のビジュアルにつながる案がまとまりました。
やはりコンセプトの核が共有できているならば、1人の頭よりみんなの頭であります。
イラスト・ロゴ。決定までのよもやま話
イラストの角田さんが苦しみながらも初稿を上げ、見た目はどんどんとブラッシュアップされていきましたが、それからもいろいろな問題が起こりました。
当初キャンプファイヤーに灯っていたのは、赤い火がロゴに複雑に絡むような表現だったのですが「これではWordPressロゴが火にかけられているように見えかねない」といったような懸念が起こり、色を含めた炎の表現が大きく変更されることになったり。
ランドマークの選別に関して、いくつかの建造物の権利者から、わたしたちが希望する条件での許可が下りなかったり(ランドマークのイラストをGPLライセンス下で流通させることができるようにしたい、というのが私たちの希望でした)。
こうしたイラストのブラッシュアップ・決定までの経緯については担当である角田綾佳さんに直接聞いてみました!
イラスト担当・角田さんが語る!ボツ案に見るイラスト制作の様子
「イラスト担当角田です。上で書いていただいている通り、各県の特徴的モチーフ&GPLライセンス可、という条件は思っていたよりも厳しいものでした。また、モチーフがたくさんある県ではどちらがよりパブリックなイメージかということで、実行委員内で検討していただき没案も数案でました。
せっかくなのでシルエットでご紹介します。」
「他のモチーフに取って代わられたもの、ライセンス的にNGだったもの、理由はいろいろでしたが没にしてしまうのが非常に残念なモチーフもあり、GPLの難しさを感じた件です。」
「しかし、実は県のモチーフ以上にバージョンがたくさんあるもの、それは『灯』です。色から形から、手元に残っているものだけ並べてみましたが様々なバージョンを経て現在の形になりました。」
「ライセンスもオールクリア! 灯もばっちり決まった! という最後の最後、土壇場でイラストのデフォルメ感に手を加えました。歴史的建造物が多めになってしまい渋い感じが出てしまうのを危惧して、少し崩した形で可愛らしいフォルムになればという意図です。実際並べてみると本当に僅かな差ですが、イラスト担当の小さなこだわりでした。」
以上、角田さんのイラスト解説でした。
こうした紆余曲折を経て、みなさんが今見ている絵が完成したのが、当初の予定から大幅に遅れて3月の中旬でした。
そこから中根紳一さんにイラストのテイストに合わせていくつかのロゴタイプをご提案してもらいました。
ロゴタイプについて
ロゴタイプは中根さんがオリジナルで書き起こしたものです。WordCampには正規のロゴも存在していますが、今回はアートワークとの親和性にこだわらせていただき、オリジナルのロゴを作成することにしました。
初期ロゴタイプ
まず、イラストの初稿が上がる前のもの。
『キャンプファイヤー』『輪になった人』『2府4県の共同イベント』というキーワードを元に『楽しそうなイメージでメリハリがあって、なおかつスタイリッシュ』というコンセプトで作られたのが、この初期ロゴタイプでした。
イラストの初稿を受けて丸く変化
イラストの雰囲気を受けて制作されたラウンデッドなロゴタイプ。しかしイラストに合わせてみると、ちょっと「かわいすぎる」。初稿のものも「かわいい」感じがする、ということで、実行委員長から「もう少し大人っぽいものを」というリクエストが。
ウェイトを落としてスリムになり、そして完成へ
ぐっと今のカタチに近くなりました。ここまで細くなったらもう装飾もなくていいんじゃないか、となり、Optima(碑文風の欧文書体)に雰囲気を近づけて調整されたのが下の完成形です。
当初の案に比べてずいぶんとシンプルに落ち着きましたが、それでも存在感のあるロゴにしていただけたと自負しております。
完成したアートワークについて
結局ロゴを含むビジュアルが完成したのは情報リリースの直前になってしまったのでした。
いやはや、チームの皆さんにはご迷惑をお掛けしてしまいました…。なんとか情報リリースには間に合ってよかった。
最後にちょっとだけ、できあがったアートワークのデザイン意図を解説させてください。
燃えさかる大きな灯りと、それを支える小さな灯り
WordPressは、世界中に広がるコミュニティひとりひとりの経験と知恵によって支えられています。そしてWordCampはその経験と知恵がどこよりも発揮される場であり、そしてもっとも伝達される場でもあります。その世界観をひとつの絵に表現しました。
関西2府4県のシンボルの足下に輝く小さな灯りが集まって、キャンプの大きな灯りを作り出している、そういうイメージになりました。
知識と経験の灯は関西に集まり、そしてまた別の人、別の地域へと広がっていく
白い鳥(伝書鳩)のモチーフはかなり初期に提案され、キャンプファイヤーをテーマにすることになってからはしばらく忘れられていたものでした。灯の伝達者は「たくさんの人間」というイメージだったのですが、どうも絵がごちゃごちゃしそうで良くないね、と頭を悩ませていました。
そう悩んでいるうちに「ハトがいいんじゃないか」というアイデアが角田さんから提案され、それを採用しました。
ハトは最初の案では複数存在していました。一羽だとどうしても「主役」という雰囲気が出てしまいコミュニティが支えているという雰囲気が弱くなるんじゃないかと私が考えていたのです。
しかし現在では一羽の鳥がたくましく飛ぶ、というものでよかったと思っています。「このイベントに参加するひとりひとりがWordCampの灯を持ち帰り、他の人へ、他の地域へつないでほしい」という私たちのメッセージをより強く表すものになったと思えるからです。
むすびに
ずいぶんと長くなってしまいましたが、「WordCamp Kansai 2014のデザインができるまで」を語らせていただきました。
当日を楽しみにお待ちのあなたに、そして来場をご検討中のあなたに。このデザインを通じて私たちが準備しているWordCampの楽しさを感じてもらえれば嬉しく思います。そしてその予感が本物になるように、一同準備をがんばりたいと思います。
未来のWordCamp運営者になっているあなたへ。この素晴らしいイベントをデザインするための一助になるエントリになっていれば幸いです。
「WordCamp Kansai 2014のテーマビジュアルについての話(後編)」への1件のフィードバック
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